「言ってやりたい!」で決める、読書感想文の本の選び方

読みもの

夏休みの宿題でもおなじみ、読書感想文。読書ぎらいな人はもちろん、普段から本を読む人でも、苦手と感じることは結構多いようです。

この記事では、読書感想文に向いている本の選び方を紹介します。キーポイントは、本を読んでみて「こいつに言ってやりたい!」ことが浮かぶかどうかです。

読書感想文って、何を書くもの?

まず、読書感想文とは何でしょうか。この記事では、本を読んで思った(感じた、考えた)、自分のことを書く作文のこととします。

青少年読書感想文全国コンクール公式サイトで、過去の入賞作品を読んでみてください。本の内容について書いているというよりは、自分の体験や普段から思っていることについて書いている作文だ、と気付くと思います。

(賞のために読書感想文を書くわけではないでしょうが、やはり受賞作はどれもすてきで、読んでおもしろく、参考になります)

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「言ってやりたい!」本を見つけよう。

本を読んでいて、「わたしだったら、こうするのに!」「このキャラクターは、どうしてこんなことを言っちゃったんだろう」などと、もどかしく感じたり、いらいらしたりしたことはありませんか。

そういう本こそ、きっとあなたにとっては読書感想文に向いている本なのです。

「登場人物に対して言ってやりたいことがある」ということは、「読書感想文に書きたいことがある」ということとほとんど同じなのです。

普段から本を読んでいる人なら、さっそく思い当たる作品があるかもしれません。あまり読まない人は、図書館ですすめられている本や、コンクールの課題図書などから、とりあえず何となくピンとくるものを手に取ってみましょう。

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あとは、国語や道徳の教科書の中には、案外「言ってやりたい!」相手が隠れているものです。そのつもりで読み返してみるのもいいかもしれません。

どの本について書くかを決めたら、読書感想文の半分は終わったと言ってもいいくらいです。

『きつねのおきゃくさま』を例に、考えてみよう。

「どの本か」を決めたら、その本に登場する「誰に」「何を」言ってやりたいか考えましょう。考えるといっても、自分の心に浮かんだものを、そのまま使えばいいのです。

ここからは、『きつねのおきゃくさま』という絵本を例に、どんなふうに読書感想文を書いていくか、考えてみましょう。小学2年生の教科書にも載っている物語です。

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「わたしだったら、こうするのに」

 わたしだったら、くろくも山からおおかみが下りてきたときに、きっとにげ出したのに。きつねは、どうしてゆうかんにたたかうことができたのでしょう。

お話の登場人物に対して、「どうしてこんなことを言ったのだろう」「どうしてこんなことをしたのだろう」と感じることがあったら、読書感想文を書くチャンスです。

「どうして?」という疑問が浮かべば、それについての自分なりの答えを自然と考えます。それを書いていけば、感想文になっていきます。

感想文の書き始め、最初の1文に悩む人も多いと思います。そんなときは、とりあえず「わたしだったら」「ぼくだったら」と書き始めてみるのも1つの手です。もっといい書き出しを思い付いたら、後で書き直せばいいのですから。

いやなやつに、もんくを言う。

 おおかみはふしぎに思ったでしょう。どうして、きつねがたたかいにむかってきたのか。おおかみは知らなかったでしょう。ひよこや、あひるや、うさぎが、みんなまるまると太ってうまそうだったわけを。

実は、ほとんどのお話には、読んでいて「ちょっといやなやつだなぁ」と感じる登場人物が出てくるものです。もしかすると「すごくいやなやつ」かもしれません。

「いやなやつ」に話しかけるつもりで、もんくを文章にして書いてみると、それが読書感想文になります。これは、意外と書きやすいやり方です。

もんくを書いた後に、「でも、おおかみもきっとおなかがすいていて」などと、いったん「いやなやつ」の気持ちになってみると、より良い感想文になります。また、文字数が足りなくて困っている人も、ぜひためしてみてください。「でも」や「だから」をつかうのがポイントです。

その結果、「だから、おおかみにもりゆうがあって、しかたのないことだったんだ」と納得しても、「それでも、きつねを死なせてしまったから、おおかみはいやなやつだ」という終わり方になっても、どちらでもいいのです。どちらもりっぱな感想です。

いいやつに、おれいを言う。

 ひよこさん、ありがとう。ひよこさんが、きつねに「やさしいねえ」とか「親切なお兄ちゃん」とか言ってくれたから、あひるやうさぎは食べられなくてすみました。それに、きつねも「わらって」しぬことはなかったでしょう。

「いやなやつ」について書くより、「いいやつ」について書きたいなら、それもいいでしょう。おれいの手紙を出すつもりになると、書きやすいです。

「いいやつ」へのお礼を、長くまとまった文章で書くのは、ちょっと難しいかもしれません。もし自分に似たような経験があれば、ぜひそのことを書いてみてください。感想文がまとまりやすいです。

例えば、「わたしも、人から『やさしいね』と言われたとき、とてもうれしかったです」や、「あのとき、ひよこさんみたいな人がいてくれたらよかったのに」というふうに書くことができます。

「感想がない」ときは。

「この本を読んで、どう思った?」と聞かれて、困ったことがありませんか。「特に何も思わなかった」「感想なんてない」ということも、めずらしくはありません。

何についても「感想」や「自分なりの考え」を持とうというのは、特にまだ経験の少ない子どもにとっては難しいことです。

じゃあどうすればいいですか、という質問への模範回答は、いろんな体験をして、たくさんの本を読んで、感受性をみがいて……というようなことになるのでしょうが、すぐにできることではありません。また、急いでやったらいいというものでもないように思います。

では、今、ひとまず読書感想文に限って、どうすればいいか。

今読んでいる本とはいったんお別れして、別の本を見てみましょう。

「感想がない」のは、いけないことではありません。あなたとの相性がたまたま悪かったのかもしれない。10年後に読んだらまた違うかもしれない。ただ、とにかく今は、いい出会いではなかったというだけです。

それでも読書感想文を書かなければいけないなら、しかたがない、別の本を開いて、「言ってやりたい!」相手を探しに行きましょう。きっと大丈夫です。何しろ本というものは無数にありますから。

おわりに

読書感想文の書き方には、いろいろあります。説明する本やサイトもたくさんあって、それぞれ役に立ちます。もしも、ここに書いてあることが自分に合ったやり方だと思ったら、試してみてください。

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